
最近、寿司学校への入学がちょっとした社会現象になっています。
SNS広告、YouTubeの成功者インタビュー、説明会での甘い誘い文句。
「海外で活躍したいなら寿司職人!」
「未経験でもたった3ヶ月でプロに!」
「定年後の第2の人生に、寿司職人の道を!」
……ですが、その裏側にある現実は、決して美しいものではありません。
寿司学校に通う人は、主に2パターン
近年、寿司学校が日本全国で急増している。
広告を見れば、どれもこれも耳障りのいい言葉が並ぶ。
「未経験でも3ヶ月でプロに」
「海外で活躍する寿司職人に」
「第2の人生、寿司で世界へ」
どれも魅力的だ。
なにせ、私はそれに引っかかったひとりだったのだから。
当時の私は60歳を過ぎて、第二の人生を模索していた。
若い頃から好きだった“寿司”の道を、いまからでも歩けるなら——そんな素直な気持ちだった。
100万円という受講料も、高いと思いつつ「人生最後の挑戦なら」と納得して払った。
だが、その後に待っていた現実は、寿司を握る前に、モップを握る日々だった。
寿司というブラック業界の代表
寿司学校だというのに、毎日掃除を強要させられる
【パターン①】60歳を超えた“リタイア世代”
退職金も入り、子どもたちも独立して、
「残りの人生はやりたかったことに挑戦したい」
――そんな前向きで純粋な想いを胸に、寿司学校の門を叩きます。
しかし、ほとんどの寿司学校の“母体”は寿司屋。
教育機関ではなく、人手不足を解消する“人材供給所”として機能しているのが現実です。
授業料は100万円超。
華やかな未来を見せられてお金を払い、
実際に待っているのは、掃除・皿洗い・下働きばかりの3ヶ月。
【パターン②】海外で一発逆転を狙う若者・中年層
かつては確かに、アメリカでは“日本人=高級寿司職人”という幻想がありました。
握れなくても「ジャパニーズシェフ」という肩書きだけで年収1500万円なんて時代も。
でももう終わりました。
今では、英語が堪能で、アメリカの寿司学校で学んだ現地の職人たちが台頭。
彼らは、日本人よりも安く・素早く・アメリカ式の寿司を握る。
それでも寿司学校は言います。
「アメリカで日本人寿司職人は今でも引く手あまたですよ」と。
この夢を売るビジネスに乗せられ、高額な学費を払い、道具を揃え、英語も学び、
やっとアメリカに渡っても、職も見つからず帰国するケースが後を絶ちません。
寿司学校の“裏の顔”とは?
ここが最も重要なポイントです。
- 寿司学校の多くは寿司屋が経営母体
- 授業よりも清掃・雑務・労働力確保が目的
- 優秀な生徒は、自店舗に就職させる“囲い込み”
- 就職支援や海外支援は口だけ
要するに、人手不足に困った寿司屋が、学校という名を使って人材を確保しているだけなんです。
「技術を教える対価として、安い労働力を確保する」
それはかつての“見習い制度”と同じ。
いまの時代なら、これはブラック企業の温床です。
寿司学校という名前から、多くの人は「教育機関」を想像する。
だが実際に中に入ってみると、ほとんどの寿司学校の**母体は“寿司屋”**だ。
つまり、“教えるための学校”ではなく、
“人手不足を補うための装置”として運営されている。
3ヶ月のカリキュラムの中で、技術は断片的にしか教えられない。
食材は足りず、講師はバイト感覚。
道具の手入れは生徒任せで、掃除や皿洗いが日課になる。
「これが100万円の授業か?」
誰かに聞いてほしかったが、教室には誰も応えてくれない。
なぜなら講師もまた、現場の板前たちが“片手間で”教えているからだ。
寿司学校の正体はブラック寿司屋だったのまとめ
——寿司を学ぶなら、“本気の師匠”を探せ
もちろん、すべての寿司学校が悪いわけではありません。
しかし、多くがビジネスとして**“夢を売り”、その代金を回収するだけ**の仕組みになっているのも事実。
あなたが寿司職人を目指すなら、まずは以下の3つを冷静に考えてください。
- 学ぶ場所は、本当に“教育機関”か?
- 海外就職の情報は、今現在の“リアル”に基づいているか?
- 支払う学費に見合う“確かな技術”と“サポート”があるか?
夢を持つことは素晴らしい。
しかし、その夢を“食い物にする仕組み”があることを、どうか忘れないでください。
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